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目次
本記事の内容
・腰痛と体幹深部筋について
・体幹深部筋トレーニング(体幹安定化トレーニング)まとめ
一時期流行となった「体幹トレーニング」。改めて体幹トレーニングとは何か?自分自身も再考するキッカケとしてこの記事を書きました。
今回は体幹トレーニングの中でも、腰痛と深い関連がある体幹深部筋に着目して記事にまとめたいと思います。
特に軽度の腰痛や再発性の腰痛をお持ちの方はここで紹介するトレーニングは、タイプ別トレーニングの基礎となる部分なのでぜひ参考にしてみて下さい!
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記事の信頼性
ユウスケ 理学療法士
理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約12000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。
趣味は筋トレ、ゲーム、自分自身の怪我の経験や知識を活かして2020年6月から本ブログを開始しています!良ければTwitterのフォローよろしくお願いします。
腰痛と体幹深部筋について
体幹の筋肉の中でも注目されているのが体幹深部筋(以下深部筋)が以下の2筋です
腹横筋(ふくおうきん)
多裂筋(たれつきん)
腹横筋は、腹部をコルセットのように覆うことで腹部を引き締め腹圧を高めることに役立ちます。
腹横筋が上手く機能していない場合には曲がる場所が局所に集中し一部の関節のみにストレスが集中しやすくなります。腹圧を適切に高めることにより、前屈や後屈など動きを脊柱全体でバランス良く行うことが出来ます。
多裂筋は、特に胸椎や腰椎の各椎体の後面に付着して個々の椎体を直接安定するのに役立ちます。
グローバル筋はダイナミックな動きを作る役割があり、ローカル筋と呼ばれている多裂筋は関節の近い位置で動きの微調整を行っています。
グローバル筋のみで動きを行うと各関節の制御が不十分で、局所のストレスが増えます。しかしグローバル筋とローカル筋が協同して働くことでバランス良く関節を使うことが出来ます。
この2つの筋肉は役割は異なるものの体幹の安定性にとても重要な機能を果たしています。
腰痛と深部筋の機能不全に関して様々な報告がされています。
腹横筋については、Hodges PWらの報告によると健常者は四肢(上下肢)の運動の前に先行して腹横筋が活動しており、腰痛の方は筋活動が遅延していた1)〜4)。
腹横筋は体幹の安定化の為にフィードフォワード機能を有しており、身体にかかる負荷に事前に備えるような役割を果たしているようです。
多裂筋については、腰痛者と健常者を比較した報告によると腰痛者においては下位腰椎の多裂筋のCSA(筋横断面積)が有意に低値を示しており、筋の萎縮が認められているそうです5)。
多裂筋は個々のセグメントの安定性に関与しており、1度でも腰痛を経験すると筋の機能不全が起こりやすい筋であり再発予防にはこの筋機能を改善することが大切です!
このように深部筋は様々な形で、体幹特に腰部骨盤の運動制御(運動をコントロールすること)に重要な役割を果たしていることがわかります。
また体幹安定化トレーニングの効果を検証した研究を紹介します。
Hidesら6)7)は超音波を用いた視覚的フィードバックによる体幹深部筋のモーターコントロールトレーニングを実施し、萎縮した多裂筋の筋断面積が改善し、体幹深部筋(内腹斜筋や腹横筋)の非対称性や単独収縮困難などの活動異常の改善を認め,腰痛は半分程度まで低下したと報告しています 。
Harringeら8)は、ドローインを中心とした体幹安定化エクササイズを実施し、腰痛の方において介入群では非介入群と比較して腰痛の減少や腰痛を訴える日数の減少を認め、特に介入群で腰痛を患っていた 15 名中 8 名で腰痛が消失したことを報告しています。
このように体幹特に深部筋に関しては、腰痛再発予防としても何らかの効果が期待出来ます。
もちろん腰痛のタイプや原因は様々です、している仕事や趣味、スポーツなど背景が様々なのでそれらの人を一括りにしてしまうこと自体が違和感があります。
しかしながらこの体幹深部筋トレーニングの良さは、脊柱自体をそれほど大きく動かす運動ではないので比較的取り組みやすく継続しやすい運動です。
実際にトレーニング内容はとてもシンプルではありますが、筆者も自宅で隙間時間にほぼ毎日継続することで効果を実感しています(あくまでも個人の感想です)。
体幹深部筋トレーニング(体幹安定化トレーニング)まとめ
体幹深部筋トレーニングは、腹直筋などのアウターマッスルの活動を抑えながら実施するのが特徴です。
腹横筋
① ドローイン(仰向け)
[方法]回数 10回 セット 3セット
❶ 仰向けにて両膝を立てた姿勢をとる
❷ 息を吐きながら腹部を引き込ませる
ポイント:1回ごとにゆっくり呼吸を整えながら実施します。メジャーを用いてウェストを細くするように実施するとわかりやすい!
② ドローイン(仰向け)+下肢挙上
[方法]回数 10回 セット 3セット
❶ 仰向けにて片膝を立ててもう片足は伸ばした姿勢をとる
❷ 息を吐きながら腹部を引き込ませる
❸ ❷の状態をキープしたまま伸ばした足を挙上する
ポイント:足を挙上する時に骨盤が動かないように注意する!
③ ドローイン(横向け)
[方法]回数 左右5回ずつ計10回 セット 3セット
❶ 横向けの姿勢をとる
❷ 息を吐きながら腹部を引き込ませ、ウェストを持ち上げる
④ ドローイン(四つ這い)
[方法]回数 10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとる
❷ 息を吐きながら腹部を引き込ませる
多裂筋
① ブリッジ(両脚)
[方法]回数 10回 セット 3セット
❶ 仰向けで両膝を立てた姿勢をとる
❷ ドローインをした状態で臀部を持ち上げる
② ブリッジ(片脚)
[方法]回数 左右5回ずつ計10回 セット 3セット
❶ 仰向けで片膝を立て、もう片方は足を伸ばした姿勢をとる
❷ ドローインした状態で臀部を持ち上げる、もう片方の足は支持している足を並行になるように
ポイント:骨盤の回旋が起きないように、背面だけではなく腹部も意識して実施します
腹横筋と多裂筋
① 四つ這い上肢挙上
[方法]回数 左右5回ずつ計10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとります
❷ ドローインした状態をキープします
❸ 片腕を挙上します 10秒キープ
ポイント:体幹が回旋したりしないように注意しましょう!
② 四つ這い下肢挙上
[方法]回数 左右5回ずつ計10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとります
❷ ドローインした状態をキープします
❸ 下肢を挙上します 10秒キープ
ポイント:腰椎を反り過ぎたり、骨盤が回旋しないように注意しましょう!
③ 四つ這い上下肢挙上
[方法]回数 10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとります
❷ ドローインした状態をキープします
❸ 対側の腕と下肢を同時に挙上します 10秒キープ
ポイント:骨盤、体幹の回旋しないように注意しましょう!
まとめ
最近は続けて腰痛の記事を中心に書いているので、本当に色んな視点から紐解いていくことが大切だと感じています。
腰痛の原因というのは、筋トレにおいてはほとんどが体に力学的な負荷(ストレス)がかかって起こるので負荷をどのようにマネジメントするかが鍵となります。
しかしそれ以外で起こる腰痛も沢山あり、心理的、社会的側面から見ることも大切だと日々感じています。
しかしながら運動学、生理学、解剖学、バイオメカニクス等は我々理学療法士の専門性が発揮しやすい分野なのでそのような視点を大切にしながらも痛みがなぜ起こるのかを色んな視点で捉えていければとブログを書きながら学んでいければと思います!
Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)では毎日筋トレケガ予防の知識やエクササイズ動画を配信中です。このブログの内容も少し深掘りした内容等を発信していますので良ければフォロー、いいねよろしくお願いします!
参考文献
1)Hodges PW, Richardson CA : Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain. A motor control evaluation of transversus abdominis. Spine, 21 (22) : 2640-2650, 1996.
2)Hodges PW, Richardson CA : Altered trunk muscle recruitment in people with low back pain with upper limb movement at different speeds. Arch Phys Med Rehabil, 80 (9) : 1005-1012, 1999.
3)Hodges PW, Richardson CA : Contraction of the ab- dominal muscles associated with movement of the lower limb. Phys Ther, 77 (2) : 132-142, 1997.
4)Hodges PW, Richardson CA : Delayed postural con- traction of transversus abdominis in low back pain asso- ciated with movement of the lower limb. J Spinal Disord, 11 (1) : 46-56, 1998.
5)金岡恒治:腰痛の病態別運動療法体幹機能向上プログラム,文光堂,2016
6)Hides JA, Stanton WR, McMahon S, Sims K, Richard- son CA : Effect of stabilization training on multifidus muscle cross-sectional area among young elite cricketers with low back pain. J Orthop Sports Phys Ther, 38 (3) : 101-108, 2008.
7)Hides JA, Stanton WR, Wilson SJ, Freke M, McMahon S, Sims K : Retraining motor control of abdominal mus- cles among elite cricketers with low back pain. Scand J Med Sci Sports, 20 (6) : 834-842, 2010.
8)Harringe ML, Nordgren JS, Arvidsson I, Werner S : Low back pain in young female gymnasts and the effect of specific segmental muscle control exercises of the lum- bar spine : a prospective controlled intervention study. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 15 (10) : 1264-1271, 2007.
(注:ここに記載してある運動を行ったことによる症状の悪化や怪我等については当ブログ管理者は一切責任を負いませんご理解下さい)