一般向け 肩こり/腰痛

前にかがむと痛い【前屈型腰痛】〜原因と対処法〜

ロニ子
朝起きた時に顔を洗ったり、かがむ時やずっと座っていると腰が痛くなるの、なんとかして!

 

そんなお悩みを解決します。

目次

本記事の内容

・前にかがむと痛い【前屈型腰痛】とは?

・前屈型腰痛の原因

・前屈型腰痛のメカニズム

・かんたんセルフチェック

・前屈型腰痛の対処法(生活習慣編)

・前屈型腰痛のセルフケア方法

 

こんな人にオススメの記事となります!

 

こんな方におすすめ

  • 生活出来ないほどではないが動作によっては痛みで支障が出る
  • 何度か似たような腰痛を経験したことがある
  • 前にかがむと痛い、腰を曲げる動作で痛い

 

おそらくこの記事に辿り着いたということは、どれかに当てはまっているはずです。

出典:厚生労働省 平成28年 国民生活基礎調査の概況より

これは平成28年の国民生活基礎調査の報告ですが、性別ごとの有訴者率の上位5症状を示したグラフです。腰痛は男性では1位、女性では2位といかに腰痛の患者さんが多いかが理解出来ます。

 

一般的な症状であり、沢山の方が苦しんでいる症状ですが、生活に支障が出るほどの腰痛でなければ病院に行くことも少ない為、正しい対処が出来ず再発したり、慢性化してしまいます。

 

是非この記事を参考にして頂き、腰痛との向き合い方を変えるキッカケになれば幸いです。

 

記事の信頼性

ユウスケ 理学療法士

理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ  | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約12000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。

 

趣味は筋トレ、自分自身のケガや痛みの経験から1人でも多くの方が痛みの苦痛から解放されるように記事を書いています。

 

前にかがむと痛い【前屈型腰痛】とは?

 

そもそも腰痛には、特異的腰痛非特異的腰痛があります。

Deyo RAらの報告によると特異的腰痛とは、原因を特定しうる腰痛で腰痛全体の約15%と言われています。それ以外の約85%は原因を特定しきれない腰痛で【非特異的腰痛 ひとくいてきようつう】と言われています。

 

私たちが一般的に経験する腰痛は非特異的腰痛と言われているものです。

 

腰痛と言っても発生した時期、タイプなど様々です。

 

ぎっくり腰かな?と思った方はまずコチラを参考にしてみて下さい!

こちらもCHECK

ぎっくり腰 | 急性腰痛症〜原因/対処法/再発予防〜

続きを見る

 

今回は、ぎっくり腰ほど急性発症したものではないけれど、過去に何度か同じような腰痛を経験した方が対象となります。

 

一般的には再発性慢性腰痛と言われています。

再発性:12カ月間の内、腰痛になっている期間がトータル半分以内の期間で複数回腰痛になっている

慢性:12カ月間の内、腰痛になっている期間がトータル半分以上で単発または複数回腰痛になっている

 

非特異的腰痛の中には腰痛と言っても腰を曲げて痛い方もいれば腰を反らすと痛い方もいます。

 

このようなわかりにくい腰痛に対処するために、タイプ別に腰痛対策を行います。

 

どういった運動に伴って腰痛が出るのかで5つのタイプに腰痛を分けます。

ポイント

前屈型腰痛(屈曲型腰痛)

反り型腰痛(伸展型腰痛)

捻り型腰痛(回旋型腰痛)

前屈+捻り型腰痛(屈曲回旋型腰痛)

伸展+捻り型腰痛(伸展回旋型腰痛)

 

今回は非特異的腰痛の中でも腰を曲げた時に痛みが出る前屈型腰痛に着目してお話ししたいと思います。

 

前屈型腰痛は、別名【屈曲型腰痛 くっきょくがたようつう】と言われています。屈曲とは、腰椎を前方へ曲げる動きを言います。この記事では前屈と言った方が一般の方にはイメージしやすいので前屈型としています。

 

主に前屈した時や、前にかがむ姿勢、座っていると腰が痛くなったりする腰痛です。

 

日常生活では、顔を洗ったり、赤ちゃんを抱っこしようとしたり、下の物を拾う時など様々な前屈の動作で腰痛が現れま

 

腰椎を屈曲したり、くしゃみなど椎間板内圧が上がる動作で腰痛が認められるために椎間板性腰痛とも言われたりします。しかし椎間板が変性していたからと言って必ずしも腰痛が出現するとは言えない為に運動方向で分類します。

 

前屈型腰痛の原因

腰痛の原因は多岐に渡ります、難しい話にはなりますが大切なので少しだけ総論をお話しします。

 

腰痛の原因は大きく分けて生物的、心理的、社会的問題の相互作用と言われています。

 

メモ

生物的→身体のこと

心理的→精神や心理状態、その人の性格的特性

社会的→仕事、家庭環境、住居等の社会的特性

 

特に再発性、慢性腰痛では心理面社会的な側面におけるケアも重要です。

 

このような前提のもと今回の記事では特に理学療法士が専門とする生物学的視点、身体を中心として腰痛を紐解いていきます。

 

腰痛の原因を身体の視点でまとめるとこうなります。

続 運動機能障害症候群のマネジメント 頸椎・胸椎・肘・手・膝・足を参考に筆者作成

図は運動病理学的モデルと言って、私たちが日々行う姿勢や運動がどのようにケガに繋がっているのかを表した図です。

 

少し難しいので簡単に説明すると、【どんな人が?】【何をして?】身体がケガ(損傷)に至ったのかを理解するための図です。

 

みんな1人1人顔が違うのと同じように、体格やしている仕事、趣味や活動は全員違います。

 

しかし最終的には、腰椎への屈曲(くっきょく)方向への繰り返しのストレスが組織の損傷へと繋がり痛みを引き起こします。

 

腰痛の原因となる姿勢や運動は、人によって背景が違うことに着目した上で似たようなタイプの腰痛を集めたものが今回のタイプ別の腰痛対策です。

 

ロニ子
難しいわw理学療法士はこんなことまで考えているのね
腰痛はメチャクチャ奥が深くてまだまだわからないことも沢山あるんだ、この記事を通して理学療法士の仕事を少しでも知ってもらえると嬉しい
ユウスケ

 

「どんな人が?」「何をして?」腰椎が屈曲しやすくなり、腰が痛くなったのか?これは個人によって異なります。

 

例えば…

 

✔︎ 男性ドライバー→長時間の運転

✔︎ 女性デスクワーカー→長時間のデスクワーク

✔︎ 高校生の趣味がゲーム→長時間のソファーでの座位

✔︎ 男性で30代の引越しの仕事→不良姿勢での重量物の運搬

✔︎ 20代の女性保育士→中腰での子供の世話

 

などです。

 

腰痛の原因を紐解く上では仕事、趣味などの活動の内容も鍵になってくるので頭の片隅に置いといて下さい。

 

では腰椎が屈曲しやすい状況を、運動学的に考えていきましょう。

 

前屈型腰痛のメカニズム

 

前屈型腰痛は先ほど説明した様々な原因により腰椎が他の関節より屈曲しやすいのが特徴です。

例えば、身体を関節のある一本の棒と仮定します。

 

すべての関節の硬さが同じであれば、棒を曲げた時バランスのとれた曲線を描くはずです(図真ん中)。

 

しかし一か所だけ柔軟である箇所があればどうでしょうか?

 

図右側のように柔軟な場所だけが屈曲してしまいます。図真ん中の棒の関節は各関節20°ずつ、合計60°屈曲しています。図右側の棒は黒丸は5°ずつ、赤丸は50°の合計60°屈曲しています。

 

全体では同じ角度曲がっていても曲がっている角度の配分が異なるので注意が必要です。

 

実はこれが前屈型腰痛のメカニズムです。

 

腰椎の屈曲方向が優位に柔軟になることで、前にかがむ、座るなどの動作で腰椎ばかりが動いてしまいます。これが腰椎の組織の損傷を引き起こし腰痛を引き起こします。

 

このような腰椎が屈曲しやすい方の筋肉と関節の特徴を簡単にまとめるとこうなります。

腰椎を中心として、上が胸椎、下が股関節です。

 

関節同士の硬さの違いは腰椎が一番柔軟であり、胸椎、股関節は腰椎に比べると硬い。

 

これを相対的柔軟性(そうたいてきじゅうなんせい)と言います。

 

難しい話は置いといて、この柔軟性の高い場所を筋トレで硬くして、胸椎や股関節は硬さが目立つ場合は柔軟にしてあげます。

 

そうすることで柔軟性のバランスを整えて腰椎が動き過ぎないようにしてあげます。

 

また前屈型腰痛の場合は、腰部の背筋群(下背部)と股関節伸展筋群であるハムストリングスや大臀筋の筋肉の硬さの違いがこのような関節の柔軟性の違いをうむことが多いと言われています。

 

かんたんセルフチェック

 

では実際に自分が前屈型腰痛に当てはるのかチェックしてみましょう!

 

おそらくこの記事をご覧の方は前屈した時に痛みを感じている方が多いので概ね当てはまると思います。

 

[方法]

横から動画撮影します。

① 立った姿勢から前屈します(手が床につかなくてもOKです!)

② 前屈したところから戻ります

腰に違和感や痛みがある場合は、③動きの修正テストへ

③ 意識的に腰を曲げないようにして再度前屈します

(膝関節を少し緩めて、息を吸い、股関節屈曲から動きをリードしてあげましょう)

④ 痛みが緩和するかを確認します

④で痛みが緩和/消失した場合には痛みの原因は腰椎の屈曲方向にあったことが理解できます。

 

実際の臨床の現場では、これ以外にも様々な検査測定を行なって身体を見ていきます。ここではすべては載せきれないので、割愛します。もしこれを見ている方が専門家の方の場合は、コチラの書籍も参考にしてみて下さい!私の95%はこのコンセプトで出来ていますw



 

前屈型腰痛の対処法(生活習慣編)

 

先ほども言ったように、前屈型腰痛の特徴は腰椎が過剰に屈曲しやすいことにあるので日常生活で腰椎を曲げ過ぎないことが非常に重要なポイントとなります。

 

どれだけ良いエクササイズをしていても、エクササイズをしていない時間の方が長いので生活習慣での痛みの原因となる動きや姿勢を気にかける必要があります。

 

ここでは座っている姿勢かがむ姿勢のポイントを簡単にまとめます。

 

座っている姿勢については、長時間の座位そのものがあまり良くないので20〜30分に1回は立って背伸びをしたり軽く歩いたりすることを最もオススメします。

 

仕事や自宅でどうしても座っている時間がある場合には、骨盤を前傾した姿勢を維持できるようにしましょう。椅子に深く腰掛けている場合には椅子の後方への傾斜により骨盤が後傾し腰椎が屈曲しやすくなってしまいます。

浅く腰掛けるか、ランバーサポートと言って骨盤が立つようにクッションや枕を入れてあげましょう。

 

ソファーは、骨盤後傾し腰椎が屈曲しやすいので出来れば座面のしっかりした椅子に座るように心がけましょう。

 

次にかがむ動作ですが、基本的には腰椎を中間位(ニュートラルポジション)で痛みがなければそれを維持した姿勢を心がけましょう。

あまり深く考える必要はありません、最も大切なのは痛みがなく動作ができるというのが本質です。あなたに合った痛みのない動きを探すのが大切ですので、この方法に囚われる必要はありません!

 

前屈型腰痛のセルフケア方法

 

セルフケアは大きく分けて2つ、硬くなりすい筋肉をストレッチしてあげることと、柔らか過ぎる筋肉を筋トレします。

 

これら2つはセットで考えましょう!

 

【ストレッチ編】

① ハムストリングスのストレッチ

[方法]時間 30秒 セット 片側3〜5セットずつ

① 抵抗バンドを体と足にかけます

② 足を持ち上げて抵抗バンドを引っ張り下肢をリラックスさせてもも裏をストレッチ 30秒

*抵抗バンドがない場合は、長めのバスタオルで代用してもOK!

コチラの抵抗バンドは、私が実際に愛用しているものです。強度は赤と紫くらいあれば色々なエクササイズができますので超オススメです!


② 股関節の屈曲多方向へのストレッチ

腰痛、大臀筋ストレッチ

[方法]:時間 30秒〜1分 セット 3セット(3方向)

① 仰向けで両膝を立てます

② ストレッチする側の膝を抱えて、膝を胸の方へ近づけてストレッチします

*股関節を屈曲する方向は3方向、30秒ずつ行って下さい。

 

③ キャット/キャメルによる上背部のストレッチ

キャットキャメル

[方法]:回数 10回 セット 3セット

① 四つ這い姿勢をとります

② 胸椎を伸展(胸を張る)→胸椎を屈曲(背中を丸める)を繰り返します

*背中を丸める時は、腰(下背部)よりも上背部、肩甲骨を天井に近づけるような意識で胸椎を丸めましょう

 

【筋トレ編】

④ ロックバック運動

四つ這いロックバック、猫背

[方法]:回数 10回 セット 3セット

① 四つ這い姿勢をとります

② 骨盤を少し前傾位にしてお尻を踵に近づけます

*②で骨盤を前傾したら息を吸って止め軽くお腹を締めた状態をキープしたままお尻を踵に近づけましょう

 

⑤ 四つ這い上下肢挙上(hand-knee exercise)

四つ這い上下肢挙上

[方法]:回数 10回 セット 3セット

① 四つ這い姿勢をとります

② 対側の上肢と下肢を挙げます(この時手と足は長軸方向へ引き伸ばすように挙げます)

(③) もし上下肢を同時挙上出来ない場合は、上肢のみ、下肢のみから始めてもOKです

*上肢下肢を挙げる前には必ず息を吸ってお腹を締めたまま上肢下肢を挙上しましょう

 

⑥ ウォールスライドランジ

[方法]回数 10回 セット 3セット

① 壁に手をついた立位をとります

② 腰椎を中間位(骨盤を立たせたまま)のまま片側の足を後方へ引きながらランジします

*1回1回動作をする時には、息を吸ってお腹を締めて動作をして戻ったら息を吐きます、苦しい方は動作をするときに少し「ヨイショ!」と声を出しながらしてもいいです

 

ポイント

エクササイズは、痛みの状態を見ながら無理せず行なって下さい。回数やセット数はあくまでも目安です、翌日疲労が残らない程度で1週間ごとに少しずつ回数やセット数を増やしていって下さい!

 

まとめ

 

今回は前屈型腰痛についてまとめました。この記事に記載してあるのは、あくまでも一つの提案です。

 

再発性、慢性腰痛はとても奥が深い分野であり、身体のケアだけでは不十分なケースもあります。

 

しかし身体が変わることで、心理面や仕事がはかどり相乗効果も期待できます。

 

私自身は、筋トレによって日々充実しておりそれがこの記事を書く原動力にもなっています。

 

皆さんも身体を良くしたいと言う気持ちに素直に身体が喜ぶ行動を心がけて下さい!

 

参考文献

1)Shirley A.Sahrmann 著/竹井仁・鈴木勝 監訳,続 運動機能障害症候群のマネジメント 頸椎・胸椎・肘・手・膝・足,医歯薬出版株式会社,2013

2)Deyo RA,What can the history and physical examination tell us about low back pain?,JAMA.1992 Aug 12;268(6):760-5.

(注:ここに記載してある運動を行ったことによる症状の悪化や怪我等については当ブログ管理者は一切責任を負いませんご理解下さい)

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