一般向け 肩こり/腰痛

ぎっくり腰 | 急性腰痛症〜原因/対処法/再発予防〜

ロニ子
こないだ家で掃除をしていて、冷蔵庫を持ち上げたら急に腰が痛くなったの!ぎっくり腰?どうしたら良いの?
とにかく落ち着いて
ユウスケ

そんなお悩みを解決します。

目次

本記事の内容

・ぎっくり腰って何?

・ぎっくり腰の原因(発生源と危険因子)

・ぎっくり腰の時期別の対処法とオススメエクササイズ

この記事では、ぎっくり腰の解説、発症から回復に至るまでの対処法とオススメのエクササイズを紹介します。

 

一般的には適切な安静と普段の生活で回復はしますが、医療機関へは行くことを前提としてお話しします。

 

この記事は5分程度で読めます!

 

記事の信頼性

ユウスケ 理学療法士

理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ  | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約12000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。

 

この記事は2012年腰痛の臨床診療ガイドラインを参考に作成しています 1)。

 

ぎっくり腰って何?

 

正式には【急性腰痛症】と言います。何か重いものを持ち上げたり、くしゃみ、わずかな前屈姿勢でも突然現れます。

 

その症状から別名「魔女の一撃」と呼ばれています。それくらい急激に痛くなり立っていることさえも出来なくなります。

 

主に胸椎、腰椎、仙骨、骨盤で構成される関節の動きが制限される急性の腰痛を【ぎっくり腰】と言います。

 

ぎっくり腰、症状、発生源

ではぎっくり腰の一般的な症状を確認します。

 

症状は?

・急性の腰痛、臀部痛(お尻の痛み)、大腿痛(ふとももの痛み)(1か月以下の期間)

・腰椎の可動域、個々の関節可動性が制限される

・腰痛および腰痛に関連する下肢症状は、関与する胸椎、腰椎、または仙腸部を動かすと痛みが誘発される

 

とにかく痛くて、腰を動かすことも出来ない、そして臀部や太ももまで痛くなるというのが主な症状です。

 

上記以外にも症状がある場合は、必ずそれらの症状も医療従事者に伝えましょう!

 

ぎっくり腰の原因(発生源と危険因子)

 

残念ながらぎっくり腰の原因は未だはっきりと分かっていません。

 

しかし痛みを引き起こしているであろう発生源と痛みを引き起こした原因である危険因子があるのは事実です。

 

発生源とはそのケガによってダメージを受けた場所です。主に胸椎や腰椎、仙骨、仙腸関節の捻挫・筋肉の損傷・筋膜性炎症など様々です。

 

しかし病理学的な所見と腰痛との症状や状態には必ずしも関連があるとは言えません。

 

腰椎椎間板ヘルニアがあるからと言って必ず症状が出るわけではないということです、その逆もあります。

 

危険因子とは、どのような人がぎっくり腰になりやすいかという要因です。

 

危険因子

・年齢

・重量物の運搬

・座りがちな生活

・機械的な負荷

・仕事の心理的負担

・若年者であれば特定のスポーツ(重量挙げ、ボディビル、ボート漕ぎ等)

・予測し難い状況での腰への負荷

etc...

 

様々な要因が少なからず関連はしているようですが、意外にも体幹の筋力や柔軟性などが関連しているという強い根拠はありません。

 

そして急性症状が治ってからは身体だけの要因だけではなく、不安や恐怖等の心理社会的な要因も関連してきます。

 

腰痛に関しては、誰もがなる可能性があるのであなただけが痛みを経験しているわけではありません。

 

今はとても痛いですが、少しずつ良くなります安心して下さい!

 

僕自身も20代の頃繰り返す腰痛に悩まされていましたそんな経験も踏まえて自分自身があったらいいなを意識して記事を書いています。
ユウスケ

 

ぎっくり腰の時期別対処法とオススメエクササイズ

ここから発症〜回復に至るまでの3つのステップで紹介します。

 

・急性期(発症〜数日)前半

・急性期(数日〜4週目)後半

・回復期(5週目〜)

(この期間はあくまでも目安ですので、痛みが早く改善する場合も、遅れる場合もあります。)

 

今すぐに痛みが改善するわけではないので焦らず、騒がず、冷静に対処していきましょう。

 

痛みの程度を測るのに参考になるのが、医療現場でも使われているNRS(Numerical Rating Scale)です。全く痛みがない【0点】〜耐えられない最大の痛み【10点】としています。

 

 

痛みの度合いはこれを参考にお話ししていきます。痛みはどうしても主観的であり、医療従事者が感じることが出来ませんのでこのような目安を記録しておくとあなたがどれくらい痛いか?を共有する一つの指標になります。

 

また医療機関で診察を受ける際には、最初の痛みは何点くらいだったのか?現在何点くらいなのか?を伝えると診察もスムーズに行くかもしれません。

 

❶ ぎっくり腰かな?と思ったら
(急性期前半 発症〜数日:NRS 9〜10点)

冷や汗をかくような、激痛がある場合には無理には動かず安静にしましょう。自分が楽だと思う姿勢で大丈夫です。

 

この時期に大切なポイント

・適切な安静による痛みの緩和

・生活に必要な基本的な動作を痛みを管理しながら行う

・極度の安静は良くありません

 

ぎっくり腰、症状、発生源、寝方、ぎっくり腰姿勢

 

これは横向きの悪い姿勢です。股関節から骨盤、腰椎へと姿勢が崩れているのがわかります。

 

ぎっくり腰、症状、発生源、寝方、ぎっくり腰姿勢

 

これが良い姿勢です。3つのパターンを紹介しています。1人1人体型は違うのでこれを参考に自分の楽な姿勢を作りましょう!

 

骨盤や肩まわりが傾き姿勢が崩れるとそれが腰椎の不良姿勢を招きます。抱き枕は横向きの姿勢を整えるのに非常に効果的です、痛くて寝る姿勢が決まらないという方はコチラを参考にしてみて下さい。

  

 

横向き姿勢のポイント

・骨盤の回旋を防ぐ

・上半身の回旋を防ぐ

・腰椎を真っ直ぐにする

・肩幅が広い人は枕は高め

ぎっくり腰、症状、発生源、寝方、ぎっくり腰姿勢

 

次は仰向けです。仰向けで多い悪い姿勢は脚を伸ばして、股関節の前側の筋肉が骨盤を引っ張り腰が反る(腰椎が伸展)姿勢です。

 

このような場合は、膝の下にクッションを入れ膝と股関節を軽く曲げておきます。この姿勢は、非常に楽な姿勢です。

 

特に仰向け、横向きの時はこのように枕や布団で楽な姿勢を作ってあげましょう!

数時間〜数日して徐々に痛みが治ってくれば、痛みが出ないように左右に寝返りを繰り返します。腰椎を動かさないように体が一つの丸太のような感じで寝返りしてみましょう!

そして横向き→四つ這い→正座へとゆっくり姿勢を変換していきましょう。

 

この時は腕の力を使ったり、壁を使ったりして極力上半身の重みが腰にかからないように注意しながら動くことに注意しましょう。

 

最初の数日間はトイレや食事、入浴以外は基本的には痛みが我慢出来る無理のない範囲で動くこと。

 

極度の安静は、かえって筋力や心肺機能の低下を招きます

 

ロニ子
コルセットはつけるべき?

 

コルセットを装着して痛みが緩和される場合には、活用しましょう。あまりに長期間の装着は、未装着時の不安定感を感じるかもしれません。後述する回復・予防のエクササイズと合わせて徐々に外していきましょう。

 

こちらに紹介しているシグマックス社の腰痛ベルトは、私が務める医療機関でも良く使用されているものです、見た目気にされない方は腰痛ベルトの中でも特に安いので取り敢えずこの状況をしのぎたいって人はこれで間違いないかと思います。

  

 

❷ ぎっくり腰かな?と思ったら
(急性期後半 数日〜4週目:NRS 3〜8点)

数日すると痛みがなんとか我慢出来る範囲、自宅内でなんとか歩けるくらいになってきます。この時期からは徐々に床上で出来る簡単なストレッチやエクササイズで、緊張している筋をリラックスさせ脊椎の柔軟性を改善させていきましょう。

 

ここからの時期で大切なことは?

・痛みを緩和すること

・脊椎や股関節の柔軟性を維持/改善すること

・元のライフスタイルに戻していくこと

 

この時期のオススメエクササイズ

オススメエクササイズ一覧

  • ドローイン(腹横筋)のエクササイズ
  • 骨盤の前後傾のエクササイズ
  • ブリッジのエクササイズ
  • キャット/キャメルのエクササイズ

ドローイン(腹横筋)のエクササイズ

・姿勢は膝立て位

・息を吐きながら→お腹を凹ませます

腹横筋という腹筋の中でも一番奥にあるインナーマッスルを刺激します。筋肉の走行はまるでコルセットのようで、様々な動作の基本となる筋肉です!

骨盤の前後傾のエクササイズ

・両手で骨盤を把持します

・恥骨をヘソの方向に引き上げる:後傾

・恥骨をヘソの方向から引き下げる:前傾

骨盤の前後傾を繰り返して、腰椎の可動性を改善していきます。痛みが強い場合は小さい動きから練習してみましょう!

ブリッジのエクササイズ

・両腕は体の体側に両膝を立てた位置

・お尻を持ち上げます

主に腰の背筋群を刺激します。お尻にある大臀筋やハムストリングスにも低負荷ですが刺激が入ります。腰をあまり反らし過ぎないように注意して下さい!

キャット/キャメルのエクササイズ

・四つ這いの姿勢をとります

・脊柱を丸める(キャメルの姿勢)

・脊柱を伸ばす(キャットの姿勢)

脊柱の全体を曲げ伸ばしします。関節の柔軟性を改善したり、腹筋や背筋の血流を改善することで痛みを軽減する効果もあります。痛みがある場合は小さい動きから実施して下さい!

 

❸ ぎっくり腰かな?と思ったら
(回復期 5週目〜:NRS0〜3点)

 

一般的にはもうこの時期にはほぼ痛みはなくなっているかもしれません。

 

人によって回復速度は違いますので3〜4週目で概ね痛みがなくなっている人もいますし、逆に遅れる人もいるでしょう。

 

期間はあくまでも目安なので痛みの度合いも参考にして進めて下さい。

 

この時期から大切なのは、腰痛を悪化させないことと再発させない為の運動を実施することです。

 

もしあなたがぎっくり腰を含む腰痛に繰り返し悩まされているのであれば、STEP❷とSTEP❸で紹介するエクササイズを生活習慣に取り入れることをオススメします。

 

ここからの時期に大切なのは?

・腰痛を再発させない

・脊椎や股関節の柔軟性を維持/改善すること

・アクティブなライフスタイルを追求または維持する

 

この時期のオススメエクササイズ

オススメエクササイズ一覧

  • バイシクルキック
  • プランク
  • ウォールスライド(脊柱を中間位)
  • パーシャルランジ(脊柱を中間位)
  • 四つ這いでの上下肢のリーチ
  • 踵をつけたブリッジ
  • 背筋と肩甲骨周囲の強化

 

バイシクルキック

・仰向けの姿勢で両手を頭の後に組みます

・肘と膝をつけるように体幹を屈曲・回旋します

特に腹斜筋を活性化し、脊柱の柔軟性と筋力を維持・改善します。

プランク

・うつ伏せで肘をつけた姿勢をとります

・骨盤とお腹を持ち上げます

前面の腹筋を強化し、脊柱の安定性を維持・改善します。

ウォールスライド(脊柱を中間位)

・脚を少し前に出して壁にもたれます

・股関節と膝を曲げます

・脊柱は中間位のポジションをキープ

このウォールスライドは上半身が垂直な為、腰椎に負担が少ない状態で体幹の安定性を高めます。

パーシャルランジ(脊柱を中間位)

・壁に向かい合い、両手は壁に

・後方へステップし、膝がついたら戻ります

・脊柱は中間位のポジションをキープ

体幹がやや前傾しますが、両手があるので腰への負担は軽減しながら体幹の安定性と股関節と膝関節の筋力を維持改善できます。

四つ這いでの上下肢のリーチ

・四つ這いの姿勢をとります

・脊柱を中間位に保ったまま対側の上下肢を挙げます

背筋(特に多裂筋)と腹筋の筋力を強化し、脊柱の安定性を維持・改善します。

踵をつけたブリッジ

・仰向けで下腿が垂直の位置になるよう膝を曲げます

・お尻を持ち上げます

急性期でのブリッジとの違いは、踵のみで支持することで不安定性が増しより股関節と体幹の安定性が要求されます。

背筋と肩甲骨周囲筋の強化

・両上肢を挙げたうつ伏せになります

・腕全体を肩甲骨から持ち上げます

・胸椎の伸展から持ち上げます(2つ目画像)

肩甲骨周囲筋と腹圧を維持するための体幹の安定性が維持・改善されます。腰が反り過ぎてしまう人はお腹にクッションを入れて腰椎が少し屈曲位になるように調整しましょう。

 

マッサージ店には行ってもいいの?赤旗(レッドフラッグ)とは?

 

ロニ子
だいぶ動けるようになってきたらマッサージには行ってもいいの?早く治したいわ
安静で緊張した筋肉をほぐすことは一定の効果があるかもしれないけどあくまでも主治医の指示に従うことが大切だよ
ユウスケ

 

安静中に緊張した筋肉をほぐし、一時的に痛みを緩和させることは大切ですが状態が回復途中である場合には施術者によっては腰痛を悪化させるリスクはあります。

 

そして医療機関では患者さんが湿布を出されて、特に何もしてくれなかったと言われることがあります。

 

しかし経過観察をしながら患者さんの様子を見るということこそが最も大切なポイントです。

 

実は腰痛の最も怖いところは、赤旗(レッドフラッグ)と言われる危険な病気や怪我のサインが潜んでいる可能性です。

 

経過を見ながら異常があればすぐ再診してもらうこと。

 

基本的にはこの赤旗をしっかり見極めることが出来るのは数々の症例を診察されている医師しかいません。どれだけ信頼のおける接骨院やマッサージ店であってもまずは病院へ行きましょう!

 

赤旗(レッドフラッグ)に注意

・背部関連腫瘍

・馬尾症候群

・背部関連感染症

・脊椎圧迫骨折

・腹部動脈瘤

 

何も危険な病気やケガがないかをしっかり経過を見守ってもらってるということが重要です!

 

まとめ

一般的には2〜3週間程度で痛みは概ね改善されます。そして回復に合わせて普段通り動くことを意識しましょう。極度の安静は帰って腰痛を悪化させます。

 

この間に多少なりとも動けるようになれば、整形外科への受診をオススメします。時折危険な病気や怪我のサインであることもあるので自己判断はしないこと。

 

オススメのエクササイズを用意していますが、あくまでも一例です。負荷が強すぎる場合もありますので、無理せず主治医の指示に従うのがまず大切です!

 

参考文献

1)Delitto A, George SZ et al, Low Back Pain Clinical Practice Guidelines Linked to the International Classification of Functioning, Disability, and Health from the Orthopaedic Section of the American Physical Therapy Association.

 

(注:この記事を執筆する筆者は理学療法士です。何度も言いますが、この記事に書いてあることがすべてあなたにとってマッチする情報ではないかもしれませんので必ずかかりつけの整形外科や医療機関に係り主治医の指示に従って下さい。なおここに記載してある運動を行ったことによる症状の悪化や怪我等については当ブログ管理者は一切責任を負いませんご理解下さい)

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