そんなお悩みを解決します!
目次
本記事の内容
・腹圧とは?
・腹圧を作る筋肉は?
・腹圧のメカニズム
・腹圧を高める為には?
・ドローインvsブレイシング
腹圧は頻繁に使われている言葉ですが、説明すると難しくて理解しにくい。
そんな方々のお悩みを少しでも解決できる記事を作成しました。
この記事は約5分で読めます!
記事の信頼性
ユウスケ 理学療法士
理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約13000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。
腹圧とは?
腹圧とは、腹腔内に作られた空間の中の圧力で、腹腔内圧(IAP:intra abdominal pressure)とも言われています。
腹圧は、体幹を安定させたり、咳をしたり、排尿や排便を手助けする重要な役割を果たしています。
これを見て下さい!
上は腹圧が非常に高い状態で、下は腹圧が低い状態を現しています。ペットボトルは、体幹で人間の構造に似せて腹部をくり抜いてあります。
腹圧が高いとペットボトルは背筋(はいきん)のような動力がないにも関わらず反った状態をキープしています。
腹圧が低いと簡単にペットボトルは曲がってしまいます。
またこの動画は挙上中に腹圧が維持出来なくなるパターンです。腹圧を維持出来続けなければ同様にペットボトルは曲がります。
この曲がった箇所にストレスが集中したり、腹圧が低いが為に背筋で頑張り過ぎることが腰痛の原因ともなります。
腹圧を高めることはパフォーマンスUPに繋がるだけではなくケガ予防の観点からも非常に重要な役割を果たします。
腹圧を作る筋肉は?
腹圧は主に腹腔に近いローカル筋(体幹の深層筋)と腹圧をより高めるためのグローバル筋(体幹の浅層筋)により作られます。
腹圧を直接構成するのは主に4つのローカル筋と言われている深層の筋肉、筋肉群です。
腹横筋(ふくおうきん)
多裂筋(たれつきん)
横隔膜(おうかくまく)
骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
腹横筋は、お腹周りをコルセットのように包み込んで腹圧を直接的にコントロールしています。四肢の動きに先行して収縮する働きが特徴的で何か重たい物を持ち上げる時など負荷に対して事前に備える役割を持っています。
多裂筋は、脊椎の後方に位置して個々の脊椎を安定化する働きを持っています。腹横筋と胸腰筋膜を介して連続性があり、背部を覆っています。
これら2つの詳しい作用については、この記事にまとめてありますのでぜひご覧下さい!
こちらもCHECK
腰痛再発予防 | 体幹深部筋トレーニングまとめ(多裂筋と腹横筋)
続きを見る
横隔膜は、呼吸を担う筋肉でドーム状構造している為、吸気では下降し、呼気では上昇します。その特徴から上からの圧力の主要な動力源です。
骨盤底筋群は、腹腔内の底面を構成する筋群で腹横筋と同様に四肢の動きに先行して働く筋肉です。
これら4つの筋肉が様々な動きをして腹圧を高める主軸を担っています。しかしながらより強力な負荷を強いられる場合には、いわゆるグローバル筋(体幹浅層筋)も重要な働きを担っています。
では実際に腹圧のメカニズムを図や動画を用いて理解していきましょう!
腹圧のメカニズム
まず腹圧が高まるメカニズムを理解しましょう。
腹圧を構成する腹腔の壁(以下腹壁)をそれぞれ前壁、後壁、上壁、下壁とします。腹壁の中に風船があると例えてみましょう!
風船を周りから押すことで腹圧は高まります。
この時一部の腹壁が柔軟である場合(図右側)には圧力は逃げ腹圧は高まりません。
腹圧を高める為には特に前壁にある腹横筋、上壁にある横隔膜が重要でこれらの要素は意識的にコントロールが出来ます。
良くある間違いとして、吸気により横隔膜が下がるものの前壁の筋パフォーマンスが低い為に先ほど上げた例のように前壁へ圧力が逃げてしまうことがあります(この場合にはどれだけ横隔膜を下げたとしてもお腹が出るだけで腹圧は高まりません)。
このような例の場合に圧力を上げる為には、前壁へ圧力が逃げないように前方から圧迫することでそれを代償できます。
これがいわゆるコルセットやトレーニングベルトの役割です。
コルセットやトレーニングベルトの場合は、前壁だけではなく、側壁、後壁も包んでいるので通常では得られない腹圧の高まりを再現することが出来ます。
僕が愛用しているトレーニングベルトについては、コチラを参考にしてみて下さい!
こちらもCHECK
Schiek(シーク)リフティングベルト | 完全レビュー
続きを見る
腹圧を高める為には?
腹圧を高める為には上述した通りのメカニズムが基本となります。
ポイントは、横隔膜と腹横筋と言いました。ただし実際には、大きな力を発揮する為には腹壁を凹ますだけでは足りません。
これがグローバル筋と言われている体幹の表層にある腹直筋と内腹斜筋と外腹斜筋の役割です。
腹直筋は皆さんもご存知の通りいわゆる腹筋運動で鍛えられる体幹を屈曲する筋肉です。
内外腹斜筋は骨盤から肋骨に付着して主に体幹を回旋させる筋肉です。これらの筋肉が同時に収縮するとお腹を絞り込むように締めることが出来ます。
実はローカル筋の腹横筋、グローバル筋の腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋の走行に注目すると面白いことが見えてきます。
腹横筋のみでは横方向の走行なので収縮しても腹壁を凹む形でしか、腹圧に貢献できませんがすべての筋肉が揃うことで網目構造となります。
網目構造となることですべての筋肉が同時収縮すると、網目が締まるように腹壁を絞ることが出来ます。実はこの構造こそが、腹圧を外に逃さない為の非常に優れたシステムとなります。
ドローインvsブレイシング
腹圧を高める方法として良く対比されるのが
ドローイン(厳密には2種類)
ブレイシング
ドローインは、腹横筋を選択的に収縮し腹圧を高める方法でお腹を引き込む運動です。
ブレイシングは、体幹筋群の同時収縮により腹圧を高める方法です。
ブレイシングは、グローバル筋により腹壁をより硬く出来る為腹圧が高くなります。
どちらかと言えば重い負荷に耐えうる為の腹圧を再現するにはブレイシングが向いています。
これは私個人の見解ですが、実は腹横筋をトレーニングする目的はお腹を凹ましわずかな腹圧を得ることではなく、腹横筋そのものの適度な硬さを保つのが大切だと考えています。
あくまで他動的な張力が大切だと感じています!
ドローインとブレイシングの詳しいやり方についてはコチラの記事を参考にして下さい!
こちらもCHECK
体幹トレーニングの教科書【基本編】〜ドローインとブレイシング〜
続きを見る
腹横筋の適度な硬さとは?
日常生活において、横隔膜は常に上下し動いています。
わかりやすくする為に、2種類の硬さの違う腹壁を用意します。
A→硬い腹壁
B→柔らかい腹壁
横隔膜の下降する量を一定にした場合、Aの硬い腹壁の方が腹圧が高まりやすくなります。
(注:図はあくまでもイメージです)
このように普通より柔らか過ぎる腹横筋は、ゴムが伸びきった風船のようと捉えることが出来ます。この場合には意識的な収縮やグローバル筋を代償的に使った腹圧の高め方しか出来なくなります。
これが腹横筋にアプローチする理由の1つです。
ただし、ドローインはある程度指導して出来れば個人でセルフケアの中で取り組んでもらうことが大切です!
日常生活においてはそれほど高い負荷は掛からないので適度な腹圧があれば十分です。私たちが対象としている患者さんでは、このローカル筋の機能不全により腰痛を発症しているケースも少なくありません。
筆者自身の腹圧の捉え方として、ローカル筋で構成されている腹圧の機能はあくまでも日常生活で必要な負荷に対する機能であり、スポーツやウェイトトレーニング、普段かかる負荷よりも高い場合においてはローカル筋とグローバル筋の両方の機能が必要と考えています。
最後に今回まとめた内容を非常にわかりやすく説明している動画がありますのでコチラも参考にしてみて下さい!
まとめ
今回は腹圧について解説しました。
腹圧という言葉は非常に使い勝手が良く頻繁に使われている言葉ですが、しかし実際のメカニズムは理解しにく部分があります。
まだまだわからない部分も多い腹圧を少しでも理解出来ていれば嬉しいです!
もし腹圧って何?と質問されたらまずこの記事をご紹介頂けると嬉しいです。
Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)では毎日ケガ予防の知識を運動学と解剖学をベースに発信しています。このブログの内容を深掘りしたことなども配信していますのでぜひフォローして頂けると嬉しいです!