専門家/トレーニー

運動強度(物理的強度、生理的強度、心理的強度)

運動強度

今回はいちトレーニー、いち理学療法士として運動強度について再度確認していこうと思います!
ユウスケ
ロニ子
運動強度について、なんとなくはわかるけど改めて聞かれたら明確に答えられないと言う方は是非一緒に学びましょう!
ただ僕の専門分野ではないので、誤りがあればご指摘頂けると幸いです。
ユウスケ

目次

本記事の内容

・運動強度とは?

・心理的強度とは?

・RPEをなぜ使うのか?

・RPEの注意点

・運動強度(物理的強度:重さ)という言葉に惑わされないために

 

今回は運動強度についてまとめていきます!

 

特に物理的強度や心理的強度については、実際に筋トレで使用する場合どのようなことに注意すべきなのかも少しだけまとめてみました。

 

この記事は約3分で読めます!

 

記事の信頼性

ユウスケ 理学療法士

理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ  | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約13000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。

運動強度とは?

私たちは身体に一定の運動負荷(lord)をかけて体力向上をはかります。

 

その運動負荷(lord)を決めるのが、運動強度(Intensity)運動量(Volume)です。

運動負荷、運動強度

運動負荷(Lord)=運動強度(Intensity)×運動量(Volume)

 

運動強度(Intensity)には、さらに

 

・物理的(バイオメカニクス的)強度

→スピード、重さ、高さ、発揮した力など

・生理的強度

→心拍数、血中乳酸濃度など

・心理的強度

→本人の主観を尺度化したもの

 

物理的強度、生理的強度は数値化しやすく、心理的強度は数値化が難しいとされています。

 

運動量とは、時間や回数、距離などがそれに当たります。

 

ウエイトトレーニングをしている皆さんは、総負荷量(Total VolumeまたはTraining Volume)という言葉を聞いたことがあると思いますが、おそらく運動負荷(Lord)とほぼ同意語だと思います(違っていたら教えて下さい)。

 

運動強度に対する認識は、人によって微妙に異なります、もしかすると伝え方や翻訳の方法などでも異なるのかな?

 

ちなみに良く使われているこの数式ですが、

総負荷量

総負荷量(Total Volume)=重量(kg)×回数(rep)×セット(set)

 

重量が運動強度(物理的強度)で、回数とセットが運動量ということになります。

 

S&Cコーチの方々は、この運動負荷を専門とされておりチームや選手のマネジメントをする際に試合や練習、トレーニングの様々な場面でかかる負荷を総合的に見ないといけませんので【運動負荷=運動強度×運動量】で見ていかないといけないんですね。

 

これは我々医療従事者も見習うべき知識だと思います。

 

例えば、同じような年齢、体型、ケガで入ってきた入院患者でAさんは理学療法や作業療法以外の時間、病棟を散歩されている人と、Bさん自室にこもってTVを見ている人、どちらが運動負荷が高いかは一目瞭然ですよね。

 

これはどっちがいいとか悪いとかではなく、運動負荷を適切にコントロールしてあげることが大切だということです。

 

運動強度を正しく理解すれば、物理的強度だけではなく、生理的強度、心理的強度でも運動負荷をコントロールすることが出来ます。

 

心理的強度とは?

RPE、心理的強度、自覚的強度

心理的強度を数値化する場合は、自覚的運動強度(RPE)がよく用いられています。

 

RPE(Rating of perceived exertion)とは自覚的運動強度または主観的運動強度と言われています。

 

自分自身が運動の辛さをどのように感じたかを指標にしています。

 

例えば、非常に軽い運動を1、経験上最大限に辛い運動を10として自分の行ったトレーニングがどこに当たるのかを数値化してもらいます。

 

BorgスケールなんかがRPEを利用したスケールとしては有名ですね!

 

これについては色々な解釈や測定方法があるので、一概にも言えませんがウエイトトレーニングではこのような使い方をしています。

 

RPEを用いる時にはRPE 10はもう一回も上がらない状態を意味します。

 

1RM100kgの方がベンチプレスで、100kgを限界ギリギリあげた時(2回目はあがらない時)にRPE10となります。

 

60kgを限界ギリギリ10回あげて、11回目あがらない時もRPE10となります。

 

80kgをあと2回あげれる余力を残し10回あげた時には、RPE8というようになります。

 

最初僕もこれを聞いた時、なんかわかりにくいなあと感じましたが、要するに後何回出来る余力を残しているかでキツさを表しているんです!これをみて下さい!

 

RPE10→回数を限界ギリギリであげた強度

RPE9.5→もう1回はあげられるかもしれない

RPE9→あと1回あげれる強度

RPE8.5→1回は確実で、もう1回はあげられるかもしれない

RPE8→あと2回あげれる強度

RPE7.5→2回は確実で、もう1回はあげられるかもしれない

RPE7→あと3回あげれる強度

 

ということになります。

 

RPEの○.5というのは、人によっても解釈が異なります。

 

筋トレしていると、○.5という差は実は非常に大切で主観ではありますが、

 

【あと1回をあげられるかもしれない】と【あと1回は絶対無理】とでは次元が違いますよね。

 

ロニ子
わかるわ〜

 

またRIR(Reps In Reserve)という言葉もあります、これは“あと何レップできたか?”という指標です。RPEとほぼ同義語なので扱われることが少ないですが、RIRは1刻みを指標にしているので○.5刻みはありません。

 

RPEをなぜ使うのか?

RPEを使う理由は、その日の調子に合わせて運動負荷を調節できる点にあります。

 

例えば同じ1週間内で、2回同じメニューでトレーニングするとします。

 

月曜日は、体調も万全で、木曜日は仕事でかなり疲労しているとします。

 

事前に決められた物理的強度でトレーニングを行う場合、疲労などのコンディションがあまり考慮されていないと同じ物理的強度でコディションが悪い日に無理に行うとケガのリスクが高まったり、適切なフォームが維持できなくなったりします。

 

RPEを導入することで、その日のコンディションを考慮して運動負荷を微調整、管理することが可能となります。

 

もちろんコンディションが良い日であれば重量を少し上げるというのも一つの手段となります。

 

ただしコンディションによって行う微調整は±2.5kg〜5kgの範囲内に収めておくことが大切だそうです。この辺りは今古賀翔さんのnoteに詳しく記載されていますのでぜひ参考にしてみて下さい!

(参考:https://note.com/shofitness/n/na08dddefbf59

 

初心者を除いてコンディションの上下で10〜20kg単位の調整を行う時点で、おそらくですがケガをしていたり、オーバートレーニングになっているのではないでしょうか。

 

RPEの注意点

RPE、自覚的運動強度

RPEの最大の注意点は、主観的であるが故に強度を低く見積もってしまうリスクです。

 

RPE8だと思っていても、実際にやってみたら5回は出来た(RPE5)wなんてことが意外とあります。

 

これを誤認と捉えるのか?自覚的強度だから仕方なくない?と捉えるのかは難しいところですね。

 

このあたりは追い込むことを経験している人と、追い込む経験が少ない人とでも差はあります。

 

また補助者がいるという安心感などもかなり影響はしてきます。

 

ただしフォームが崩れた状態でのRPEの誤計算もあるので、あくまでもストリクトなフォームを崩さない範囲でカウントしましょう!

 

RPEは経験によっても左右されますので、もしRPEをベースにトレーニング強度を調整している人はこの辺のギャップは日々調整しておくことが大切です。

 

たまには何も考えず限界レップでやってみましょう!

 

運動強度(物理的強度:重さ)という言葉に惑わされないために

ウエイトトレーニングにおいての運動強度は物理的強度(重さ)がメインです。それに運動量である回数とセット数(これも厳密には結局回数の内に入りますね)。

 

ただし物理的強度だけで考えると、バーベルの移動距離やそこにかかる外力などは考慮されていません。

 

例えば、同じ100kgのスクワットでもクウォーターとフルスクワットでは、バーベルの移動距離、そこにかかる外力が違うので運動強度は変わります。

 

初心者等が全可動域を上手く使えない場合を除いては、意図してバーベルの移動距離を変化させている場合には、これらの種目を同一種目とするよりも、それぞれの種目として相対的な重量設定を行ってあげるのが良いと思います。

デッドリフト 、相対的重量、絶対的重量

また床ひきデッドリフトとトップサイドデッドリフトなんかは良い例です。

 

同じデッドリフトですが、膝下からバーベルを引き上げるのと、膝上からバーベルを引き上げるのではかかるバーベルの移動距離も外力も異なるため相対的な重量設定が異なります。

 

もちろんトップサイドデッドリフトの方がバーベルの移動距離、身体にかかる外力を考えると重い重量を扱えますよね。

 

このように物理的強度だけに囚われると、バーベルの移動距離やそこにかかる外力に目を向けなくなってしまうので、しっかりと自分の中で目的に応じた種目を選択することと、それに応じた相対的な重量設定をすることを忘れないようにしましょう。

 

またバーベルの移動距離を少なくして高重量を扱うことは、関節にかかる負担を考慮するとあまり良い方法とは言えません。

 

負荷は筋肉へはもちろんかかりますが、関節へもかかっていることを忘れないように!

 

あまりに行う種目が多くなると、どうしても1つ1つの運動負荷の管理が疎かになってしまうので、初心者のうちはある程度決まった種目を、やり続けて運動負荷の管理をしていくことが体力向上には大切かもしれませんね。

 

まあ趣味で行う筋トレの目的は人それぞれなので少しでも体力を向上させたい方は参考にしてみて下さい!

 

参考文献

1)コーチングクリニック2020年11月号,ベースボールマガジン社(https://www.fujisan.co.jp/product/5775/new/

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