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ユウスケ 理学療法士
理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約13000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。
スクワットの効果は大きく分けて3つある
【エクササイズの王様】と言われるほど様々な効果を得られるスクワット。その効果は主に3つあります。
① 筋力向上、筋肥大などの効果
② 代謝の改善などの効果
③ 姿勢や動きが良くなる効果
その他にも沢山の効果がありますが、皆さんそれぞれがこのスクワットを目的達成のための1つの手段(ツール)として使います。
そして目的によって同じスクワットでもやり方や方法を変えるわけです。
①、② が目的であれば、それに応じた適切な運動負荷をかけてあげることが大切ですし、③であれば身体に合った正しいフォームでスクワットを行うことが求められます。特に③に関してはケガをしにくい身体作りにも役立てることが可能です。
ダイエット、運動不足解消、足腰を強くしたいなど、ボディメイクに役立てたい…etc、スクワットはやり方、方法を変えるだけで汎用性が高くかなり使い勝手の良いエクササイズです。
ですがこの使い勝手の良さが逆に仇となるケースも少なくありません。
スクワットによって鍛えられる部位は?
スクワットによって鍛えられる部位は、大きく3つのパートに分けることが出来ます。
① 体幹(骨盤を含む):腹筋、背筋
② 股関節周囲:臀筋群、ハムストリングス、内転筋
③ 膝関節周囲:大腿四頭筋、ハムストリングス
鍛えられる部位というのは、どのように身体を動かすのかで変化します。逆にいうと目的に応じたスクワットの方法(やり方)を選択しなければ目的を達成することが難しくなるでしょう。
スクワットをすれば、全てそれで解決するわけではないということは覚えておいて下さい!
例えば、「“お尻を鍛えたい”のに、太ももの前側(大腿四頭筋)ばかり筋肉痛になる」。このようなことは目的に応じた方法で出来てないためによくあることです。
やり方や方法の違いで同じように行なっていても似ているようで少し違うということが起こり得ます。
スクワットの種類、レパートリー
スクワットは大きく分けて2種類
① 自体重を用いたスクワット
② ウエイトを用いたスクワット
①は自分の体重のみを利用して身体に負荷をかけるスクワットで②はいわゆるバーベルやダンベルなどの器具を用いて負荷をかけて行うスクワットです。
この2つの大きな違いは、ウエイトによって重心位置が変化することが大きなポイントとなります。
重心の細かい場所は高価な機械で分析しないとわかりませんが、1つの目安として使うのが上半身と下半身の質量中心の中点です。この中点が人間のおおよその重心位置となり、仙骨の前方あたりとなります(*あくまでもおおよそです)。
バーベルスクワットにおいてはその重量が重ければ重いほど重心はバーベルの位置に近くなってきます。
ですので自重でスクワットをした時には、バーベルスクワットよりも重心が後方に位置しやすくなります。
そしてこれらを利用したスクワットのレパートリーは、何十種類もあります。ただ大事なことは、やみくもに沢山のレパートリーを覚えることではなく、基礎を理解して自分の目的に応じた方法を行えているかどうかです。
これが理解出来れば色んな名前のつくスクワットのレパートリーを覚える必要はなく、自身でカスタマイズして動きや方法を変化させて目的に合ったスクワットを応用、選択できるようになります。
スクワットの2つの基本パターン
初心者でまず覚えて欲しいのは、この2つの違いです。これは自体重でも、バーベルを担ぐようなスクワットでも基本原理は同じです。
どちらも同じバーベルスクワットですが、左側のスクワットは股関節よりも膝関節が優位に鍛えられるスクワットであり、右側は膝関節よりも股関節が優位に鍛えられるスクワットとなります。(*自重、バーベルを担ぐ位置や重量でも若干の差は出ますが今は気にしないで下さい)
筋トレ始めて間もない方でも覚えやすいようにすると、
✔︎ 股関節を後方へ引いていくと(体幹前傾と下腿の後傾)→股関節優位に
✔︎ 股関節を前方へ出していくと(体幹後傾と下腿の前傾)→膝関節優位に
なると思っておいて下さい。
なので前述したスクワットをしてお尻を鍛えたいと考えている人は、股関節をより後方へ引くことで股関節へ負荷がかかりやすくなり大臀筋やハムストリングスが優位に鍛えられやすくなります(*もちろん膝に全く負荷がかからないというわけではありません)。
逆に大腿四頭筋を鍛えたいと思っている方は、左側のように股関節を前方に持ってくることで、身体が立ち、膝が前方へ出すスタイルが好ましいと思います。
正しいスクワットフォームとは?
最後に巷に溢れている正しいスクワットフォームとして浸透しているのが、「膝を爪先より前に出さない」と言われているスクワットです。
これは先ほど説明した股関節を後方へ引いて行う股関節を中心に使うスクワットフォームに近いかもしれません。
自重で行うスクワットの場合は、バーベルスクワットよりも重心が後方へ位置しやすくなるため、股関節よりも膝関節を使ったスクワットとなりやすくなります(図左側)。
そのため【膝を爪先よりも出さない】ようにしようとすると、下腿を後傾し(膝を前に出さないようにして)、体幹を前傾し股関節を後方へ引くことで股関節をより使うスクワットへと変えることが出来ます(図右側)。
このスクワットフォームでは、膝関節に加わる外力が減り、膝関節への負担を軽減できるかもしれません。
しかし膝関節への外力というのは、膝を曲げる方向だけではなく、膝を捻る方向にも加わるため「膝を爪先より前に出さない」ことが必ずしも膝にとって安全なフォームとは言えません。
【膝を爪先よりも前に出さない】フォームは、あくまでも【膝を爪先よりも出さない】フォームなだけ(一つの手段なだけ)であって、大事なのは目的を明確にしてスクワットフォームを変えていくことが大切だと思います。
正しいフォーム、正しいスクワットとは、強いていうなら【目的や身体の状態に合ったフォーム】なのかもしれません。
ちなみに、【膝を爪先よりもしっかり前に出して身体を後傾する】スクワットもありますね!
『シシースクワット』と言いますが、大腿四頭筋にしっかり負荷をかけたい人にとってはこれも正しいスクワットのフォームということになります!
少し脱線しましたが、まとめます…
まとめ
○ スクワットの一般的な効果と鍛えられる部位を確認
○ スクワットは自重とウエイトを用いたスクワットで重心位置が若干異なる
○ スクワットの基本パターン2つから動きを変えると鍛えられる部位が変わることを確認
○ 正しいスクワットとは、目的や身体の状態に合ったフォームであること
重心など目に見えないものは、僕でも説明するのが非常に難しい分野ではありますので、もし専門家の方で間違いをお気づきの方がいればご教授お願いいたします。
【編集後記】
やはり何事も自分で学び、恐れず発信することで、自分の認識の誤りに気づくことが出来ます。これは子どもが成長していく過程も同じですね。本当に怖いのは、何も発信せずに自分の認識の間違いに気づかず誰かを不幸にすることかもしれません。