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目次
本記事の内容
・慢性的な腰のだるさの原因は?
・腸腰筋とは?
・骨盤を立てる(前傾する)のは腸腰筋
・腰のだるさや張りのメカニズム
・腸腰筋の3つのオススメエクササイズ
記事の信頼性
ユウスケ 理学療法士
理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約13000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。
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慢性的な腰のだるさや張りの原因は?
慢性的な腰のだるさや張りの原因は、ズバリ腰の筋肉の使い過ぎが原因かもしれません。
腰椎を支える筋肉には、
グローバル筋
ローカル筋
があります。
主にグローバル筋と言われる脊柱から離れた位置で大きな力を生み出すのに適した筋肉と、ローカル筋と言われる脊柱を安定させるスタビライザーの機能を有している筋肉があります。
腰のだるさや張りなどは、ローカル筋の機能が低下したり、グローバル筋に過度な負荷がかかることで起こります。
過去に多裂筋と腹横筋に関する記事を書きました。多裂筋は背面、腹横筋は腹圧に主に関与して体幹の安定性に寄与しています。
こちらもCHECK
腰痛再発予防 | 体幹深部筋トレーニングまとめ(多裂筋と腹横筋)
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実はもう1つ腰椎と股関節を跨ぎ、脊柱の前面に位置して安定性に寄与している筋肉があります。それがローカル筋である【腸腰筋 ちょうようきん】です。
腸腰筋とは?
腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の総称です。
骨盤から大腿骨に付着する→腸骨筋
腰椎から大腿骨に付着する→大腰筋
また大腰筋は腰椎の肋骨突起(横突起)に付着する[深層または後部]と第12胸椎と第1〜4腰椎の椎体側面、椎間円板の側面に付着する[浅層または前部]からなります。
腸腰筋全体として主に股関節を屈曲(太ももを持ち上げる、骨盤を前傾)する強力な作用を持っています。
また大腰筋は腰椎に直接付着するために、両側で腰椎を前面、側面から引っ張ることで腰椎の前額面、矢状面上の安定性に寄与しています。
骨盤を立てる(前傾する)のは腸腰筋
先ほども言った腸腰筋には股関節を屈曲する作用があると言いました。
股関節を屈曲するとは?
❶ 骨盤に大して大腿骨を引っ張る(腸骨筋と大腰筋)
❷ 大腿骨に対して骨盤を引っ張る(腸骨筋)→骨盤を立てる(前傾)
2つの意味を持ちます。
そして腰椎に付着部を持つ大腰筋には
❸ 大腿骨に対して腰椎を引っ張る(大腰筋)
役割があり、特に深層筋は両側で腰椎を引っ張ることで腰椎は伸展し腰椎に軸圧がかかり腰椎が安定します。
もう1つ大腰筋で気をつけなければならないことがあります。
実は大腰筋は、その走行が腰椎の運動軸のすぐ近くを通ることによって各線維の作用が若干異なります。
Th 12〜L5(第12胸椎〜第5腰椎)→腰椎伸展〜垂直方向に作用
L5〜S1(第5腰椎〜第1仙椎)→腰椎屈曲に作用
します。
このTh12〜L5の垂直方向の力が矢状面上の腰椎の安定化に繋がっています。
しかし回転軸に近い作用は逆に言うと作用がアライメント(骨の配列)に依存しており、腰椎のアライメントが変化するとその作用も変化します。
腰椎が伸展位(生理的前弯)→上記の通り
腰椎が屈曲位(平坦)→腰椎屈曲作用が強くなる(図真ん中)
腰椎が伸展位(過度な前弯)→腰椎伸展作用が強くなる(図右側)
これは普段の姿勢にかなり左右されるので、大腰筋の機能を最大限活かすためにはこのポイントは必ず覚えておいて下さい!
腰のだるさや張りのメカニズム
腰のだるさや張りの原因は腰の筋肉の使い過ぎ(過負荷)が原因だと言いました。
過負荷とは、高重量で腰に負荷をかけるような絶対的な負荷量と低重量で繰り返し腰に負荷をかけるような繰り返しの負荷量(累積的な負荷)の2つの意味があります。
過負荷になりやすい条件が以下の通りです
❶ ローカル筋の機能低下によりグローバル筋への負荷が高まりやすい状況
❷ ローカル筋は機能しているものの、そもそも負荷が強過ぎる状況
❸ ローカル筋の神経系(フィードフォワード機能)が上手く働いていない状況
❶に関しては、例えばハムストリングスの肉離れをイメージして頂くと分かりやすいかもしれません。
股関節の単関節筋である大臀筋の筋パフォーマンスが悪かったりすると、それを同じ股関節伸展筋で二関節筋であるハムストリングスが代償します。
これによりハムストリングスが優位に働き損傷を起こしやすくなります。
腸腰筋は両側性に働くことで腰椎を腹側尾側方向へ引っ張り腰椎を僅かに伸展させ安定します。
この機能が低下した場合には、同様の作用がある脊柱起立筋への負担が増える可能性があります。
❷に関してはそもそも至適負荷ではないことを意味します。例えば普段トレーニングをしていない人が引越しでいきなり洗濯機を担いだ時に腰を痛めたなど、筋のパフォーマンスがその重量に見合っていないまま負荷が高くなる状態です。
このような方は結構多いんじゃないでしょうか?
❸ ローカル筋は四肢に負荷がかかる事前に収縮し安定性を高めようとします。この機能が低下しやすくなるのは、腰痛の方や負荷を誤認すると言った状況です。
負荷の誤認とは、例えば重さが予測しにくいものを持ち上げた時に思ったよりも重かった場合、事前にローカル筋が準備できないまま負荷がかかり持ち上げてからローカル筋が腰椎を安定しようと働きます。
簡単に言えば腰椎を安定する為の準備が遅れることを意味します。
この辺りの知識は有料noteにて詳しく説明していますのでもし良ければご覧ください!
このような条件が揃えば揃うほど、腰の筋肉への負荷が強くなり、負担が増えます。
ローカル筋の機能低下が、グローバル筋への過負荷になり関節への負担となることで腰のだるさや張りに繋がっているかもしれません。
ですので、エクササイズの基本的な考え方は基礎となるローカル筋の機能を改善しグローバル筋や関節への負荷を軽減することが挙げられます。
特に高重量でのウェイトトレーニングなどを行なっている方は、上記の❶〜❸を徹底することがとても大切になります。
腸腰筋の3つのオススメエクササイズ
筆者が腸腰筋をエクササイズする時のポイントは、
❶ 腰椎のアライメント
❷ 両側性活動
❸ 他の股関節屈筋群の活動を抑制
ことが挙げられます。
❶ 先ほども言ったように腸腰筋の作用はアライメントに依存しています。腸腰筋は特に腰椎を伸展する作用が強いために、腰椎が伸展して腰が痛い方はあまりオススメできません。そのような方はこちらの記事を参考にエクササイズを行なってください!
こちらもCHECK
反らすと痛い腰痛【伸展型腰痛】〜原因と対処法〜
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❷ また大腰筋は両側性に活動をすることで、腰椎を安定化する作用が得られやすくなるので筋力に左右差がない場合は基本両側に行ないます(もちろん片側ずつのエクササイズも目的によってはGOODです)!
❸ 股関節は腸腰筋以外にも沢山の屈筋があります、腸腰筋は股関節屈曲域にて優位に活動するのでエクササイズでは出来ればそこを狙っていきましょう!
① 腸腰筋エクササイズ #1
[方法] 回数 10回 セット 3セット
① 膝立て位の姿勢をとり、台の上に足を置きます(台は枕でもなんでもOKです!)
② その状態から両側下肢をゆっくり持ち上げます
③ 持ち上げた位置で5秒キープしてゆっくり降ろしていきます
② 腸腰筋エクササイズ #2
[方法] 回数 10回 セット 3セット
*#1よりも負荷が少し上がります
① 膝立て位の姿勢をとります
② その状態から両側下肢をゆっくり持ち上げます
③ 持ち上げた位置で5秒キープしてゆっくり降ろしていきます
腸腰筋エクササイズ #3
[方法] 回数 10回 セット 3セット
*#1、#2とは異なり、腰椎/骨盤を大腿骨へ近づけていくことで股関節を屈曲します
① 肘をついたうつ伏せの姿勢をとります
② 骨盤を持ち上げ臀部を後ろに引きながら股関節を屈曲していきます
③ 臀部を引き切った位置で5秒キープしてゆっくり元に戻していきます
まとめ
日常生活においても、ジムでの筋トレにおいても、身体にかかる負荷に対して機能が適切でなければそもそも良いフォームを取れないことがあります。
高い負荷がウェイトトレーニング中に腰痛を感じる場合は、一度このようなローカル筋の機能を高めるエクササイズを試してみるのもありかもしれません。
もし違和感や不快感がなければ一定期間続けてみて下さい!(持病をお持ちの方は無理せず、医師の指示に従って注意して行なって下さい)
(注:ここに記載してある運動を行ったことによる症状の悪化や怪我等については当ブログ管理者は一切責任を負いませんご理解下さい)
参考文献
1)金岡恒治編集:腰痛の病態的運動療法体幹機能向上プログラム,文光堂,東京,2016.