目次
本記事の内容
・回旋型腰痛とは?
・回旋型腰痛のメカニズム
・かんたんセルフチェック
・伸展型腰痛のオススメエクササイズ(ストレッチと筋トレ)
今回は腰痛の中でも腰をひねると痛い回旋型腰痛について解説します!
記事の信頼性
ユウスケ 理学療法士
理学療法士として臨床経験14年目/運動や姿勢と身体の痛みが専門でMSI(MovementSystemImpairmentSyndromes)コンセプトと出会い4度渡米/Twitter(ユウスケ | 筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト)にてフォロワー約13000人/臨床業務とともに現在もMSIコンセプトの講師やアシスタント、各種イベントに精力的に参加している。
回旋型腰痛とは?
回旋(かいせん)とは→腰をひねる動きのこと言い、回旋型腰痛は腰をひねると痛い腰痛ということになります。
腰痛には痛みのある動きによって大きく3つに分けられます。
屈曲型(前屈型)腰痛→前にかがむと痛い
伸展型腰痛→腰を反らすと痛い
回旋型腰痛→腰をひねると痛い
この痛みのある方向によってわけられているのは、どのような運動をすれば良くなるのかという重要なヒントになるからです!
特に再発する腰痛や、慢性の腰痛では腰痛を一括りにしても、曲げて痛い方もいれば、反らして痛い方もいますよね?
ってことでこのような痛みのある運動方向や身体の状態に合わせた腰痛の対応が必要となってきます。
回旋型腰痛の特徴は?
回旋型腰痛は腰の片側に痛みが起こりやすく(もちろん両側に起こることもあります)、左右非対称性の動きを伴うような生活習慣や趣味活動、スポーツなどが原因で起こりやすいのが特徴です。
テニス、野球、ゴルフetc…
これらの運動が腰椎を過剰に回旋することでストレスが蓄積して腰痛を引き起こします。
では実際にどのようなメカニズムで腰椎に回旋のストレスが生じやすいのでしょうか?
回旋型腰痛のメカニズム
腰椎は屈曲、伸展は比較的しやすく、回旋はほとんどしない関節です。
それは関節の構造上の特性でもあり、どちらかというと安定していることが腰椎の役割でもあります。
その回旋しない腰椎に回旋のストレスが加わることで異常な可動性を生み腰痛を引き起こします。
では腰椎が回旋しやすくなる原因を考えましょう!
このモデルをご覧下さい!
このモデルで上のジョイントは胸椎、真ん中のジョイントは腰椎、下のジョイントは股関節を模しています。
3つのジョイントがあり全てのジョイントが同じ硬さだと捻ってもバランス良く動きます。
パターン①→次は真ん中のジョイントだけ少し緩めます(動きやすくします)、そうすると捻った時に緩めた部分だけが過剰に動きます。
パターン②→次は真ん中のジョイントは普通の硬さで、上下のジョイントだけを錆び付かせます(動きにくくします)、すると上下のジョイントが動かず相対的に真ん中のジョイントだけが過剰に動きます。
腰椎が過剰に動いてしまう場面は、理由は違いますが2パターンあることが理解できますね!
メモ
パターン①で示した腰椎自体の過度な柔軟性
パターン②で示した上下の関節の柔軟性が低下して相対的に腰椎が柔軟になる
これらはどちらも相対的な硬さのアンバランスによって起こるので硬いことだけが悪ではなく、柔らか過ぎることも同じくらい注意しないといけません。
ですのでエクササイズのポイントは、
ポイント
柔軟な腰椎を安定させる(硬くする)
硬い胸椎と股関節を柔軟にする
ことが大切です!ただしここで一つ気をつけなくてはいけないのが、股関節です!
股関節は実は厄介で骨の形が人によって微妙に異なります。これは普通の人でも凄く内股の人もいれば、ガニ股の人もいますよね?
これらの股関節の形状に合わせて自分の体に合った運動やエクササイズをすることがとても大切です。
この骨の形状についてはコチラの記事もチェックして頂き、概ね自分が内股(過度な前捻)なのか、外股(後捻)なのか、それともほぼ正常くらいなのかを知って頂けるとエクササイズが安全に進めやすくなります。
こちらもCHECK
股関節/大腿骨の捻れ(前捻角)〜痛みの理解を深める解剖学/運動学的知識〜
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かんたんセルフチェック
今回紹介されているセルフチェックは私が現場でも用いる方法ですが、とても多くのチェック方法の中の大切な一つです。
皆さんが解釈しやすいように少し変えてありますが参考になると思います。
セルフチェックの流れは、自然な運動をして、症状があれば動きを修正した方法で行います。これで症状が緩和すれば回旋型腰痛の可能性が高くなります。
専門家の方で私が学んでいるコンセプトに興味のある方はコチラのマンスリープログラムがオススメです!僕も毎月勉強させて頂いています!
話を戻しますね!
回旋型腰痛であるかどうかは、身体全体をひねることと、どのようにすれば痛みがなくなるのかがポイントです。
腰痛の状態によっては代償的に体の動きが制限されている方もいますので、可動域の大きい小さい左右差はそれほど気にしなくても結構です!
ではいきましょう!
座位(座ってる姿勢)でのセルフチェック
① 身体を左右にひねります
② 痛みの有無と方向を確認します(右に回旋して痛いのか?左に回旋して痛いのか?)
③ お腹に力を入れて、上下に伸びます、腰椎は極力ひねらないように、そこからゆっくりともう一度回旋していきましょう(これで痛みが緩和したり、なくなれば胸椎と腰椎の柔軟性の違いにより腰椎にストレスがかかっていることが理解できます)
立位(立っている姿勢)でのセルフチェック
① 身体を左右にひねります
② 痛みの有無と方向を確認します(右に回旋して痛いのか?左に回旋して痛いのか?)
③ 骨盤を両手で持って骨盤から回旋(大腿骨上で骨盤が回旋→股関節を使うように)するように身体をひねります(これで痛みが緩和したり、なくなれば腰椎と股関節の柔軟性の違いにより腰椎にストレスがかかっていることが理解できます)
少し応用編になりますが、紹介しておきます!次は大腿骨の過度な前捻の人と後捻の人はそれぞれ違う③修正方法となります。
【応用編】骨構造に応じた③修正方法
【過度な前捻の方】
③ 右回旋する場合は、右足は前向き、左足はやや内向きにして骨盤を両手で持って骨盤から回旋します(これで痛みが緩和したり、なくなれば腰椎と股関節の柔軟性の違いや骨の構造により腰椎にストレスがかかっていることが理解できます)、左回旋する場合は、右足はやや内向き、左足は前向きで行います。
【後捻の方】
③ 右回旋する場合は、右足はやや外向き、左足は前向きにして骨盤を両手で持って骨盤から回旋します(これで痛みが緩和したり、なくなれば腰椎と股関節の柔軟性の違いや骨の構造により腰椎にストレスがかかっていることが理解できます)、左回旋する場合は、右足は前向き、左足はやや外向きで行います。
座位と立位のチェック方法で概ねどちらの影響が強いのかが理解できると思います。
もし座位チェックで特に腰痛が即時的に緩和した場合は、胸椎と腰椎を中心としたエクササイズを行い、立位チェックで腰痛が緩和した場合には腰椎と股関節を中心としたエクササイズを行います。
大腿骨の過度な前捻や後捻がある方で立位③のテストで症状が緩和した場合は、仕事やスポーツを含め日常生活での動作の工夫(骨の形状に合わせた)が必要となります。
これらのチェック方法だけでは実際に、関節の可動域制限があるのか否かは判断できませんが以下に紹介するエクササイズで痛みなく動ける身体作りにより一定の効果は期待できるでしょう!
回旋型腰痛のオススメエクササイズ(ストレッチと筋トレ)
これがエクササイズをまとめた図になります。
胸椎と腰椎をターゲット→緑と赤枠に囲まれたエクササイズ
股関節と腰椎をターゲット→青と赤枠に囲まれたエクササイズ
両方をターゲット→すべてのエクササイズ
もちろんセルフチェックで座位、立位ともに症状の緩和があればすべてのエクササイズを実施して頂いて構いません。
回数やセット数はあくまでも目安です、実施するときはそれぞれから1種目ずつでも結構です。
痛みがなく正確に動くことが出来る、これがエクササイズの一番優先すべき目標です!
胸椎と股関節はモビリティ(可動性)に着目したエクササイズですが、エクササイズ中も腰椎が動かないようにだけは注意して下さい!
胸椎のモビリティエクササイズ
胸椎の回旋エクササイズ(横向き)
[方法] 回数 10回 セット 左右2セットずつ
① 骨盤が回旋しないように上側の膝の下に物を置いて横向きの姿勢をとります
② 両腕を90°前に揃えた姿勢から動画のように円弧を描き胸椎を回旋します
ポイント:骨盤と腰椎は回旋しないように注意すること、腰に痛みがないようように注意しながらしっかり胸を開くように回旋します。
胸椎の回旋エクササイズ(四つ這い)
[方法] 回数 10回 セット 左右2セットずつ
① 四つ這い姿勢をとり、頭の後に手を置きます
② 胸を開くように胸椎を回旋します
ポイント:骨盤と腰椎は回旋しないように注意すること、腰に痛みがないようように注意しながらしっかり胸を開くように回旋します。
体幹の安定化エクササイズ
四つ這い上肢挙上
[方法]回数 左右5回ずつ計10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとり、しっかり手で床を押しましょう
❷ お腹に力を入れた状態を作ります
❸ 片腕を挙上します 10秒キープ
ポイント:腰椎が回旋しないように注意しましょう!
② 四つ這い下肢挙上
[方法]回数 左右5回ずつ計10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとり、しっかり手で床を押しましょう
❷ お腹に力を入れた状態を作ります
❸ 下肢を挙上します 10秒キープ
ポイント:腰椎を反り過ぎたり、骨盤が回旋しないように注意しましょう!
③ 四つ這い上下肢挙上
[方法]回数 10回 セット 3セット
❶ 四つ這いの姿勢をとり、しっかり手で床を押しましょう
❷ お腹に力を入れた状態を作ります
❸ 対側の腕と下肢を同時に挙上します 10秒キープ
ポイント:骨盤、体幹の回旋しないように注意しましょう!
股関節のモビリティエクササイズ
股関節の内外旋エクササイズ(うつ伏せ)
[方法] 回数 10回 セット 左右 2セットずつ
① うつ伏せの姿勢をとります
② 膝を90°曲げます
③ お腹に力を入れて股関節を内旋と外旋します
ポイント:股関節のエクササイズですが、腰椎が回旋しないようにお腹に力を入れたまま行うので結構キツいエクササイズです。
(これは腰椎が回旋してしまいダメなパターンです、しっかりお腹に力を入れましょう!)
股関節の外転外旋エクササイズ(横向き)
[方法] 回数 10回 セット 左右2セットずつ
① 横向きで、股関節と膝を曲げます
② お腹に力を入れて股関節を開きます(外転外旋)
ポイント:股関節を開くと骨盤も一緒に回旋しようとしますが、骨盤は動かさないように注意します。
大切なのでもう一度言いますが、胸椎と股関節のモビリティエクササイズ中も
ポイント
腰椎が回旋しないこと
お腹に適度に力を入れておくこと
がとても大切です!そしてこれらのエクササイズ中に腰がどうしても痛い方は、まず体幹深部筋のエクササイズから実施することをオススメします!
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もっと負荷が弱いところから始めたい方はコチラも参考になると思います!
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まとめ
回旋型腰痛は、実は屈曲型や伸展型と合わせて非常に多い腰痛のタイプです。
エクササイズにより身体の機能を改善することで腰痛になりにく身体作りをすることも大切ですが、腰椎が回旋しやすい生活習慣やスポーツでの癖や動きを直すことが何より大切です。
どれだけエクササイズをしても、普段の足を組む癖が直っていなければそれは良いエクササイズをしたとは言えないでしょう。
みなさんも、自分の生活を見直してまず自分が気づいたことから少しずつ変化させていきましょう!
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(注:ここに記載してある運動を行ったことによる症状の悪化や怪我等については当ブログ管理者は一切責任を負いませんご理解下さい)